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執筆者の写真遠山芳博

012「コロナ後」と「リーマンショック後」主要商業地路面店舗考察

更新日:2020年11月12日

はじめに、

この度の新型コロナウイルス感染症に罹患された方とご家族・関係者の皆様に、

謹んでお見舞い申し上げます。

また、医療・行政・流通・物流関係の方々など、

感染拡大防止に日々ご尽力されている皆様に深く感謝申し上げます。


この文章は、2020年5月12日に記しております。

非常事態宣言の継続、もしくは解除など、新聞やニュースで騒がれ始めております。

世界的な危機であり、もちろん前例の無い「見えない敵」との攻防にて慎重な協議は当然。自身も何か出来る事は無いものかと、せめて行動を慎みつつ、

このような発信を続けていこうと思います。


「コロナ後」

このフレーズもまた最近、新聞紙上等に散見されます。

既に多くの方々が今今の対応をこなしつつも、コロナ後に思いを巡らせてるようですね。


では「コロナ後」、主要商業地の路面店舗はどうなるのでしょうか?

あくまでも私見ですが、

「非常事態宣言が解除された後、意外と早く復活してくる」と、当方は思っております。


ただ、いくつかの前提があります。


前提①非常事態宣言の解除、ワクチンの提供目途リリース、主要国の落着き

前提②主要商業地のいい場所から、集客し易い場所から回復。準一等地や一本裏のエリアへと順に回復


なぜならという根拠ですが、

「困ったときは歴史に学ぶ」という手が有効とするなら・・・・

といってもスペイン風邪の後はなかなか資料見つからず、

SARSコロナウイルスの影響はこの新型コロナと規模も異なる、

ということで以下の時期を参考としてみたく思います。




「2008年リーマンショック後」

このコロナ危機とは原因が異なりますが、

世界的な金融パニック事例としては、皆さんもイメージしやすいかと思います。

今から12年前とすると、20代の方は記憶になく、30代の方はなんとなく、

40代以降の方はハッキリと覚えてるかと思います。


「銀座5丁目並木通りの5件解約→募集→あっという間に契約オープン

約12年前ですが、はっきり覚えている事があります。

<悪いニュース>

① 確か浜松町の庶民的な居酒屋にあるテレビのニュースで、ルイヴィトンが銀座出店を辞退したとの事。

「最後の砦、銀座が終わってしまったのか?」と、悪酔いした記憶があります。


② 2009年春頃、銀座5丁目並木通りで5店舗退店し、その賃貸店舗募集があったこと。

銀座5丁目並木通りで対象となる建物19棟中5棟が募集、

約26%、4棟に1棟が募集という異常事態。


「銀座5丁目並木通りで5件もの募集を同時期に見たのは初めて、

他の場所はどうなってるのか?」と、

同僚と話していた記憶があります。

<良いニュース>

① 2009年以降、ルイヴィトンが辞退した案件に10社前後(ほぼ外資、国内1社か?)の申込があり、最終的にGAP旗艦店オープンに至る。

銀座の中では路面店舗最大規模、超高額賃料の案件に10社前後の申込、

リーマンショック時でも強い出店希望テナント様は複数居られ、

選考漏れした9社前後はその後も出店ニーズをお持ちという事実。

「オイオイ、銀座はリーマンショックなんて関係ないのか!、やはり銀座ってスゲー」と、話していた記憶があります。


② 2009年秋から冬頃、並木通りの募集案件5件は全て契約され、春に向け順次オープン。

当時1社のみ出店申込するも競合に負け、結果として成約0件。

「結局何も提案できなかった、あっという間に満室御礼じゃないか!!」と、

目を覚まされた記憶があります。

成約無しという実力不足に嫌気は注すも、

ほぼ1年以内に復活する「銀座という街のパワー」に、

日本を代表する商業地の「頼りがい」、「誇り」をつくづく目の当たりで感じた次第です。

「弱肉強食」

野性味溢れるこのワードこそ、危機後にそっと、でもはっきりと芽を出してきて、

あっという間に成果を挙げていきます。

そう、路面店舗では新規オープンという形で。

不変、シンプルな表現ですが、

どんな危機後もこの「弱肉強食」は滅びる事の無い事象と思います。


そこで「コロナ後」です。

やはり「弱肉強食」の結果に至るはずです。

つまり、路面店舗の空室は良い場所より満室になり、徐々に準一等地、一本裏の物件と満室に至るような気がします。

「そんな事はわかっているよ! それは何時かが知りたいんだ!」という声が聞こえてくる気がします。

あくまでも私見ですが、

非常事態宣言が解除された1年以内

概ね安定した商業地に復活している気がするのは私だけでしょうか?


このGW後、以下の様な問い合わせをいただき、

私見としてお応えしている例を記してみます。


Q①商業一等地、新宿、渋谷、銀座、表参道の一等地に多くの解約が出て路面店舗物件の募集が始まるのか?

A:今のところ多くの解約は無いと思います。

そもそも商業一等地に出店されるテナント様は、総合的に強い企業です。

財務内容もある一定の高いレベルを維持しているでしょうし、今後もその経営レベルは高い事が期待できる方々です。

となれば、一時的な賃料調整等を得て、簡単では無いにしても確実に復活してくると思います。

仮に解約があるとすれば、それはコロナ前、2019年末までの経営状況が芳しくなく、コロナ後に悪化してしまったテナント様でしょう。

コロナ騒動は引き金に過ぎず、退店も時間の問題だったかもしれません。


Q②複数の店舗ビルを所有しているが、急に多数の解約が提示されたりする可能性は?

A:魅力的な立地、元々高い賃料のエリアは、油断や過信は禁物も、あまり危惧し過ぎる必要は薄いと思います。

万が一募集になっても、競争力のある立地なので、悪くても時期を我慢しさえすれば望ましい引き合いがある可能性は十分あります。

むしろ、やや立地的に弱い物件、人通りが少ないエリア、過去にリーシングで苦戦した物件、良い立地でも上層階や地下階、等の方が解約の可能性が高いと思います。

「弱肉強食」の前提でみると、弱い立地からリスクは高まります。

身体で例えると、極寒で凍傷になるのは手足から、つまり心臓から一番遠い手足から弱っていくはずです。

路面店舗も同じで、経済の極寒時、心臓から一番遠いい、つまり街の中心から一番離れた外郭のようなエリアから、解約はひたひたと街の中心に向け迫ってくるイメージです。

新宿でいえば靖国通りや明治通りの奥側とか、渋谷でいえば神南奥側とか宮益坂の上側とか、銀座でいえば昭和通りを超えた2丁目や8丁目とか、表参道でいえば骨董通り裏とか外苑西通り側とか・・・

もしくは、8階などの上層階、地下2階等の見え難い区画、セットバックした奥側の区画など‥です。


Q③テナントは全く出店しない気がするが、いつ頃出店再開になると思うか?

A:路面店舗物件の総合的な魅力次第では、このGW後にも検討を再開しはじめると思います。

事実、ある自由が丘の募集案件に対し、

複数のテナント様が申し込む準備を開始しています。

この4月上旬、「しばらく出店は検討しない」とメールでコメントを頂いた大手テナント様が、既に触手を動かしているのです。

リーマンショック後の銀座で経験した事は、記させて頂きました。

「大変だ、大変だ!」と騒いでいる間に、銀座5丁目並木通りの募集5件は1年で満室となりました。

コロナ騒動を話題にしている、ネタにしている場合ではなく、「既に現場は動いている」と感じます。

もちろん、100%の状況ではなく、大型物件や高額物件ではまだ時間が必要かもしれませんが、NHKの番組にある「チコちゃんに叱られる」的に思うに、

「ボーとしている場合じゃないぞ!」という事だと感じております。

Q④しばらく路面店舗の仲介業はダメなのか?

A:確かに各社大苦戦を強いられると思います。

しばらくは、賃料減額交渉等の窓口的な仕事ばかりで、売上に即つながる業務では無いものに従事している方も多いと思います。

弱肉強食の下、廃業する企業もあるかとは思いますし、一人で仲介業を営む私も例外ではありません。

ただ、リーマンショック後の記憶に遡れば、

無理、無茶を避けるのは当然も、

冷静に状況を見つつ戦闘態勢を整える努力は早くすべきで、

後れを取ってはいけません。

どんなに小さな細かい仕事もこなすことで、少ないチャンスを得る可能性を上げるべきで、その逆は致命傷となりかねません。

また、前向きな廃業、会社の休眠も「ありな時代」だと思います。

痛みの少ないうちに、軍資金があるうちに、累積赤字が膨らまないうちに、

止血する方が得策という方も居られるはずです。

時代はより柔軟になり、人への評価軸も増えました。

やむを得ず転職、リスタートを切る方を評価し共に働こうという不動産会社も複数存在する気がします。

「コロナ後」

あくまでも私見ですが、

「非常事態宣言が解除された後、路面店舗は意外と早く復活してくる」

と、冒頭記しました。

先日、昭和一桁生まれの実父にこのコロナ騒動の事を聞くと、「大変な時代になった!」と言っておりました。

そこで、父が現役時代に大変な事はあったのかと聞くと、「オイルショックの時はしばらく仕事が無く、遊んでいても仕方ないので自分で家を建てる事にしたんだ」との事。

10年ぐらい前のリーマンショック後、

あるビルオーナーも同じような事をコメントされてました。

「この銀座で、過去にもいろいろな危機があった。オイルショックとか、銀行の貸し渋りとかね。ただ今もこうして銀座で貸ビル業をしている。」

人生の諸先輩方は、その時々で最大のピンチを乗り越えて来られ、

今があるものと思います。

我々現役世代も、乗り越えるしか無いという、腹は固まりますね。


「チコちゃんに叱られる」的に言う、

「ボーっと生きてんじゃねーよ!」という事だと自分に言い聞かせております。


1973年のオイルショック後、大工の実父は家を建てました。

2020年新型コロナの中、私はホームページやコラム他、発信する事に挑戦中です。

つまり、「コロナ後の世界はどうなる?」ではなく、

コロナ後わが社はどうしたい? 自分は何をする?」、

という事なんでしょうかね!


少々説教っぽくなってきたので、この辺で失礼いたします。

「コロナ後」、

皆さんと新しい世界にチャレンジするぞ、オーーー(笑)!!!

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