019 渋谷SC、原宿SC、2つの路面SCを向かい合わせ内側に倒した店舗構成(MD)が「明治通りのテナント構成」とは?
- 遠山芳博

- 2020年7月25日
- 読了時間: 7分
更新日:2020年7月27日
<お伝えしたい事>
路面店舗とファッションビル(SC)の似ている点に、
店舗のカテゴリーと出店場所があります。
ここを肌感覚で理解すると、路面店舗の並びを見ながら
「なぜここにAというアパレルがあるのか?」に、合点がいくようになったりします!
・渋谷路面店
駅前ロクシタン等
→奥の井の頭通ZARA等
→さらに奥の神南メンズセレクトやファイヤー通タワレコ&ニトリ
・ファッションビル
1Fコスメやアパレル
→中層階中型アパレル
→上層階メンズ&雑貨&インテリア&メディア書籍
つまり、
渋谷という街をファッションビルに例え、原宿側の明治通りに倒すイメージ、
原宿という街を同じくファッションビルに例え、渋谷側の明治通り側に倒すイメージ、
それが明治通りのテナント構成です。

一時代前の平成、
その元年1989年に社会人の産湯に浸かったのは既に31年前。
ああ「思えば遠くに来たものです(笑)」、
一方「光陰レーザーの如し」であっという間でもありました。
そのパワハラでワークライフアンバランスなバブル末期。
私は、大手住宅メーカーやゼネコン&設計事務所に就職する同級生が多い中、
ファッションビルの「えも言われぬ華やかな雰囲気」に引き寄せられる虫のよう、
その会社に内装監理担当として入社。
「三つ子の魂百まで」の通り、今も店舗系に関わる事に何の迷いも無く、
むしろ店舗系以外の仕事にほとんど関心ない、
本当に昔の人のことわざは大正解と感じます。
余談はさておき、何を言いたいかというと、
私の仕事勘の中に、ファッションビルやショッピングセンターの仕組みや慣習、雰囲気がある程度深く沁み込んでおります。
また、転職した不動産仲介会社で従事した。路面店舗の仕組みや慣習、雰囲気が、ファッションビルと同じかそれ以上に深く沁み込んでおります。
その「ファッションビル」と「路面店舗」を、
ピコ太郎的に「ウー」と合体した思考の目で見ていくと、
共通点がいくつか見えてきた内の一つが今回の内容です。
<テナント構成の共通点>
ズバリ
「路面店舗テナントは駅からの距離」=「ファションビルテナントは1F入口からの距離」
この距離に注目し、以下をご覧ください。
① 路面店舗
ここでは渋谷を例に取り、その路面店舗から記して参ります。
「駅前周辺」
→ロクシタン、LUSH、コスメ(ドラッグ)各社、オークリー、ファーストフードや31アイス等の食物販
「駅から少し離れた井の頭通周辺」
→ZARA、ベルシュカ、スケッチャーズ、リーバイス等のアパレル
「駅からさらに離れた公園通り周辺」
→無印良品、紀ノ国屋書店、ゼビオ、モンベル、サッカー加茂
「駅から10分以上離れた神南周辺」
→UA&ベイクルーズ&ビームス&シップスのセレクト、その他メンズ、ダルトン、ラグタグ
「駅から同じく10分以上離れ原宿寄りのファイヤー通り周辺」
→ニトリ、タワーレコード、パリミキ、
② 一般的なファッションビル、百貨店のイメージ
次にファッションビルや百貨店のフロアー構成です。
B1F:食物販、ショコラ、カフェ、ベーカリー、
1F:コスメ、ジュエリー、ファッション雑貨
2~3F:レディースアパレル、バック、シューズ
4F:生活雑貨、量販店、趣味
5F:スポーツ、書籍、CD&メディア
6F:インテリア、寝装寝具
7~8F:レストラン
如何でしょうか?
なんか共通したテナント構成を感じませんか?
では、以下もう少し詳しい事例を挙げてみます。
<スポーツ系カジュアルショップは、
なぜ渋谷と原宿の間、明治通りとキャットストリートに多くオープンしているのか?>
・前述のファッションビルでは、
スポーツ系ショップは1F入口より遠い上層階フロアーに誘致される事が多く、
路面店舗では駅から離れた立地に集積が見られます。
その代表例が明治通り周辺という訳です。
・その数、40店舗以上とも言われています。
今や原宿渋谷間のストリートは、ある意味スポーツ系カジュアルショップの聖地です。
パタゴニア旗艦店をはじめ、アディダス、リーボック、バートン、オークリー、コロンビア、ROXY、フェニックス、ノースフェース、アークテリックス、グレゴリー、デサント、チャンピオン、等々・・・
このテナント構成ですが、自然発生的に形成されてます。
逆に、ファッションビルやSCは、
デベロッパーが意図的に、何かの仕掛けや戦略的思考の下、
スポーツ系カジュアルを人為的に集積している点が異なります。
また、スポーツ系カジュアル旗艦店クラスを
40店舗以上入居させることのできるSCは無く、
もし存在しても日本国内に数件、もしくは郊外のアウトレットぐらいだと思います。
その規模が、自然発生的に集積しているのは、偶然だけではありません。
ちゃんとした訳があります。
訳①家賃が安い
いきなり不動産的な視点ですが、非常に明確な点は賃料単価が安い事です。
スポーツカジュアルの商品単価は高額とはいえず、
シューズで1万前後、コートで2~3万前後がボリュームゾーンと思われます。
客数×客単価=売上
この原則でみるに、
客単価はやはりレディースアパレルでそこそこ高い単価のSHOPより低く、
となると賃料の支払い可能額は低くなってしまいます。
一応記しますが、これは業態としての特性であって、
賃料を多く払えるから偉いとか優れているではなく、
支払える賃料が低くても魅力的なショップや繁盛店は多く存在しています。
皆さんもイメージしやすいと思いますが、
駅前は賃料が高く、大きめのゆったりとした面積を確保しにくい。
よって大きめのものを売るスポーツカジュアルは、
あまり高くない客単価にて支払い可能な賃料も限られ、
結果としてある程度限定された賃料単価のエリアに集まってしまいます。
そのエリアこそ、渋谷駅よりちょと歩く、原宿駅よりもちょっと歩く、
どちらからも「ちょっと離れた立地:明治通り」だったという訳です。
訳②客を呼ぶ集積効果
最初はどのテナントだったと限定する事は難しいのですが、
やはりパタゴニアの旗艦店舗進出には驚きましたし、
ストリートのプレステージ性を上げたと思います。
その後、シナジー効果を狙って幾つかのテナントがポツポツとオープン、
気付けば一大スポーツカジュアルゾーンを形成するに至ったようです。
少し余談ですが、
このゾーンに純然たるレディースアパレルの新業態が旗艦店を出店したことがあります。
元々メンズ色が強く、スポーツカジュアルも集積しており、
結果としてミスマッチ、3年程度で閉店するのも当方としては予想していましたし、
結果もその通りでした。
ファッションビルのメンズフロアーで、
一店舗だけユニセックスでもないレディースアパレルを誘致することも無いでしょうし、
顧客である女性も買い回らないと思います。
こういった出店ミスも、自然発生的な路面店舗では起こってしまいます。
<何の役に立つのか?>
路面店舗集積と、ショッピングセンターのテナント構成に類似した点がある事は、
上記にて触れてきました。
私にはある意味、渋谷という街は「渋谷ショッピングセンター」、
原宿という街は「原宿ショッピングセンター」、
銀座も新宿も吉祥寺も自由ヶ丘も「・・ショッピングセンター」というように捉えています。
ではこのような特徴を理解する事で、
「何の役に立つのか?」
私のような路面店舗仲介業者、リーシング業務に携わる者に取り、
ドストライクに役立つのは「テナント誘致」です。
この物件の立地は、
周りのテナント構成は、
今後の変化は、
今の流行は・・・
こんな思考をぐるぐる回転させ、
テナント様へ物件の紹介を繰り返すことで、
逆にテナント様から多くのものを学び、その精度は少しずつUPしていきます。
それ以外にも、他分野の専門家が見れば、他の気づきもあると思います。
<お伝えしたい事>
路面店舗とファッションビル(SC)の似ている点に、
店舗のカテゴリーと出店場所があります。
ここを肌感覚で理解すると、路面店舗の並びを見ながら
「なぜここにAというアパレルがあるのか?」に合点がいくようになったりします!
皆さん、何となくでもイメージ頂けたでしょうか?
こんな目線で、銀座は?、新宿は?、自由ヶ丘は?・・・・等々、
気になる路面店舗商業地を見てみては如何でしょうか?
そして同じようなファッションビルは面白くないように、
路面店舗集積も特徴が無ければ飽きられ消えていきます。
その特徴を形成するキーの一つが、個々のテナント様です。
竹下通りSCとその代表的なテナント名
自由ヶ丘SCとその特徴的なテナント名・・
そんな様に街を特徴づけるブランド名が思い浮かぶようになると、
皆さんはだんだんプロと呼ばれるようになっていくはずです。
ただ、あまりプロにはならないでください。
私の出番、店舗専門仲介業者の仕事が無くなっちゃいますので。






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