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  • 執筆者の写真遠山芳博

018 「この路面店舗いくらで貸せる?」ではなく、「誰が借りる?」が大事!

<お伝えしたい事>

先に「いくらで貸せるか?」、後に「誰が借りるか」の順は危険です。

価格だけが先行し、ほぼ100%高い賃料へと昇っていきます。

でもその高い賃料、支払えるテナントが居るかどうか後回しになり、社内承認も取るとさあ大変。その賃料で決められなければ、出口売却など含めいろいろな経営的読みが外れていき、担当者の評価にも影響が・・・!



先に「誰が借りるか」、後に「いくらで貸せるか?」が結局は安全です。

そして、「このテナントにもう少し高く貸す方法は無いか?」と知恵を絞る時こそ、

腕のいいオーナーと仲介業者の出番なのです!




「卵が先か鶏が先か?」、「話に花が咲く」、「噂の一人歩き」、「尾ひれはひれ」、「根拠のない過信」、「切りよく」・・・


皆さんも耳に馴染みのあるこのフレーズを、物件の募集条件を決めるときに当てはめると、こんな感じになったります。


あくまでもフィクション!です。

下記の文章内に出る(・・・)内は、私のつぶやきです。



「卵が先か鶏が先か」→→→→→「家賃が先かテナントが先か?」



<部長>

今日の会議は、今度の募集条件に関してです。

まずは担当のA君がどう考えてるか報告してもらい、意見交換をしよう。




<A君>

はい、次の募集資料を作ってみました。

今度の賃料はアグレッシブな設定をと考え、

思い切って20%(この数字の根拠はあるのかなあ?)アップと考えています。


賃料単価は、8.5万円/坪(税別)、賃貸面積45坪にて月額賃料は、3,825,000円です。


<部長>

地元不動産仲介会社にヒアリングした結果はどうでしたか?

<A君>

はい、先日電話(電話は表面的な内容、この時代でも短時間訪問などした方が鮮度の良い旨味のある情報が取れるのになあ!)したのですが、

今の市況から募集した場合@8.5万(その根拠を聞くのが要なんだが・・)と言ってきたのは、実は地元の仲介業者の甲さんでした。

甲さんは20年(過去の栄光ではなく直近の具体的な実績が大事!)のベテランで、

周辺の相場も熟知しており頼りになります。

<部長>

テナントの動向に関しては何と言ってましたか?

<A君>

はい、ここは今人気があるので複数(2~3件なのか8~10件なのか?)のテナントに提案できるとの事でした。

「話に花が咲く」


<部長>

そうか、ところで我社も創立30周年、店舗ビルをポートフォリオに入れ始めて10年、何とか商業ビルも10棟の二桁に乗り存在感も増してきた。

ただ、競合の不動産各社もオフィスの開発余地が狭まるなか、店舗ビルに注力してくるという噂もあると、昨晩の幹部会後懇親会で常務(この方がキーマンか?)から聞いたし。

常務は今後、店舗ビルの取得に注力すると怪気炎を上げていたことを踏まえると、

ここは強気に行く必要がある。

<A君>

部長、店舗担当としても攻めて行きたいと思います。

「噂の一人歩き」


<A君>

そういえば地元仲介業者の甲さんが、本件より5件隣(駅に近い好立地側か、逆に駅から離れた悪い立地か?)の店舗ビルが、賃料単価8.5万円/坪で成約したらしいという噂(誰から聞いたのかが大切)を聞いたそうです。

<部長>

そんな話を常務が確か以前言ってたなあ!。

本件近くの有名アパレル店(どのブランドだ?)が、

月額賃料500万ぐらい(ぐらいも幅が大きいことがある)で契約し、

知り合いのビルオーナーが大喜びだったと。


「尾ひれはひれ」


<Bさん>

Aさんと訪問した不動産大手の路面相場表という資料では、本件の位置する通りは単価@5~10万/坪(注意書等の前提確認は?)となっていました。

<A君>

確かその時、外資(アプルーバル有りで要注意)の大手アパレルがうちの物件周辺で大急ぎで物件(せめて面積ぐらいは聞いておきたかった)を探しているとも言ってましたね。

<Bさん>

地元不動産業者の甲さんも、

@8.5万からもう少しアップサイドってどの位なのか?)を狙えるかもしれず、

そんなテナントがあるようなコメントをしてましたね。



「根拠のない過信」


<部長>

なるほど、ここは積極的に行けるようだね。

賃料単価だが、A君のいう8.5万/坪を、

9.5万/坪(1万円アップの根拠は?)で考えられないか?

9.5万×45坪=4,275,000円、端数は繰り上げて430万+税ぐらいではどうだろうか。

<A君>

賃料単価@1万/坪アップですね、

頑張ってみたい(周辺成約情報の不足により反論できず、こう答えるしかないA君)と思います。

「切りよく」


<部長>

でも常務に報告すると、「もう少し頑張って450万+税でチャレンジしてみろ」て言いそうだな。先日の幹部懇親会でも社長へのアピールしてたし。

まあ、その辺で報告し、明日からリーシングを開始するので、準備は進めておくように。


「もっと切りよく」

<部長>

A君、B君、さきほど常務に報告してきたところだけど、少し時間あるかね。

<A君>

部長、少々難しそうなお顔をされてますが、予想通り430万を常務の一声で450万と指示されたのですか?


<部長>

流れはその通りだが、先日常務が言っていた有名アパレルの話を覚えてますか?


「そこが月額500万+税で決めたのに、なんでうちの物件が1割低い450万なのかね」と詰められてね。



その物件よりうちの物件の方が新しい(店舗は築年数より立地優先、オフィスとは異なるのに!)から、絶対に高く貸せるはず、と詰められたってところさ。


つまり、500万+税を目指せとの事。

もっと言えば500万越えを狙って!


皆の精一杯の努力を期待すると伝えるよう預かった。

となるとA君、少なくとも500万は目指すという結論という事だ。


部長:・・・・


A君:(賃料単価@11万/坪って・・・)・・・トホホ


Bさん:ム・・・・ムムム

少々長くなりましたが、フィクションはここで終わりです。

こんなストーリーがあるものかと、お怒りの方が居られれば恐縮です。

ただ、全てでは無いにしても、似たようなことは断片的に経験した方も居られるのではないでしょうか?

いろいろ思いつくポイントはありますが、

このコラムでは、先に「誰が借りるか」、後に「いくらで貸せるか?」に話を絞ります。



「地元仲介会社へのヒアリング」


新規募集開始時、ビルオーナーはその下準備として周辺募集事例を調べ、

今回の募集条件を決めます。

その際、信頼している不動産仲介会社へもヒアリングをされますが、

概ね第一声は「ここいくらで貸せますかねー?」といった経済条件を先に聞いていませんか?

それもそのはず、成果として問われるのは数字ですし、不動産賃貸業ではやはり賃料が最大の収益源、結論から聞くとこういう質問になります。

ただ、賃料だけで話を進める事は皆さんも稀で、

並行して「誰が借りるか」も当然話題にしているはずです。


前述のフィクションでも、部長が「テナントの動向に関しては何と言ってましたか?」、と触れていました。


「アパレルなどの店舗系ブランド名、会社名を知らない?」


でも、これ以上テナントの話に踏み込まない事情、

踏み込めない背景などもある事があります。


実は、オーナーの中に店舗専門の方は少なく、ジョブローテーションなどで部長も異動、しばらくして課長も異動、担当も異動し新任の方はオフィスやレジデンス部署からの異動、つまりテナント名もよく知らない、聞いたことも無いという事は良くあります。


「最近あのテナントは積極的、あの上場企業は既存店テコ入れで出店は見送り‥」

テナント名を知らないので突っ込んだリアリティのあるリーシング話が出来ず、

そこで不動産的な賃料などの、自分でもわかり易い話に傾いてしまうのです。



「賃料の一人歩きならぬ、一人登山を避けるには・・・」


前述のフィクションでも、賃料単価は勝手に「一人歩き」し、

しまいには上昇していく「一人登山」を始めてしまうものです。

これはある意味グッドシナリオで、

なんか高揚感というか楽しい気持ちになってきてしまいます。

ここで水を注すのも「弱気」とみられるかもしれませんし、

「やる気がないのか」とも思われかねず・・・・なんて考えたりしませんか?

この傾向は、ほぼ避けられません。


ただこの時、我々を冷静にさせてくれるのがリアリティ。

つまり「その値段で借りてくれるテナントはどの会社?」

もっと言えば「そのアパレル会社のブランド名は?、最近の出店事例は?・・」まで聞こえてくるとどうでしょう?

すると、「なんかこの賃料で大丈夫かな?」、なんて冷静な視点に戻してくれます。



「行きつ戻りつの落としどころ」


賃料の一人歩き   VS 借りるテナント企業は?

賃料の一人登山   VS 借りるブランド名は?

賃料の一人ダッシュ VS だからそれで借りれる賃借人は?

行きつ戻りつのブレスト、意見交換を繰り返し、

目指すゴールは見えてきます。


皆で共有、納得した募集条件であれば、それはもう会社判断です。


<お伝えしたい事>

先に「誰が借りるか」、後に「いくらで貸せるか?」が結局は安全です。

そして、「このテナントにもう少し高く貸す方法は無いか?」と知恵を絞る時こそ、

腕のいいオーナーと仲介業者の出番なのです!

最初に上記を記させて頂きましたが、如何でしょうか?


賃料の一人登山にブレーキでは無く、

リアリティを持たせる「誰が借りるか」を背負わせることで、

安全安心なビジネスに繋がると私は思います。


ただ、決して楽をする訳ではありません。

また、会社もそんなに楽をさせるはずもありません。

世間はどこも基本的に「競争」で、適切な生産性を上げる行為は当然「善」です。




天秤をイメージしてください。

左側に「いくらで貸せるか?」を、右側に「誰が借りるか」を乗せます。

様々な意見交換やデータ集め、会社の状況や世間の市況を加え、

上下にギコギコとシーソーの様に行きつ戻りつした先に、

バランスの取れた落としどころ、

リアリティのある目標、が見えてくるはずです。





私も日々、多くの方のお話をお聞きし、

街を歩き事例を集め、路面店舗仲介の現場で試し、

その結果で反省し、その繰り返しが性に合うのか、今の自分があります。



余談ですが最近、

加齢による筋力の衰えをカバーしようとハーフスクワットをやり過ぎ、

持病の左膝が悲鳴を上げております。

街を歩けなくなるのは致命傷・・・・と少々愚痴ってしまいました。


いつかまた、「このテナントにもう少し高く貸す方法は無いか?」の件に関しても、

触れさせて頂きます。


皆様も、筋トレなどのやり過ぎにご注意いただきつつ、

このコロナ市況を突き抜けてください。

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